だるま日誌

広島県福山市でひきこもり,ニート支援の仕事をしてます。日々思うことや面白かった本についてなど書いてみます。

サラリーマン生活はきつい

僕のところには会社勤めをしていたけれど,そこで心身の調子を崩して退職。そのままひきこもってしまったという人もよく来ます。確かに今のサラリーマン稼業はきつい。なるもんじゃないとつくづく感じます。

 

僕は自営業の家で生まれ育ったので,家の歴史の中で初めてのサラリーマンになりました。祖父も父も家業を継いでおり,母や祖母はその会社で働くといった就業形態をとっています。

そんな感じなので僕も含め家族全員が「外に勤める」ということに疎く,自分が就職するまではサラリーマンは気楽な稼業だくらいに思っていました。

 

まぁ1次産業従事者や自営業に比べれば,サラリーマンは収穫物の出来不出来や日々の売り上げに右往左往する必要もなく,毎日出社して働けば給料がもらえるわけですから気楽に見えるのかもしれません。

ローンの審査も通りやすいし,僅かながらの昇給やボーナスも見込めます。こういった働き方は「安定」していると言えるでしょう。

 

でも,バブルとともにこの「安定」神話は崩れました。

現代の労働環境はハッキリ悪い。コストカットのために最低限の人数で事業を回している会社が増えてきました。

激務・長時間労働が常態化し,一人ひとりの業務負担が大きくっています。

気持ちに余裕がないから特に人間関係に敏感になり,陰気でべったりとした空気が職場に蔓延しています。

僕の会社でも心身の調子を崩す人は一定数出ていますが,急場の解決策である「人を増やす」すらなかなか実行できていません。回復したら戻ってくるから席を残しておかなきゃいけないというロジックです。強固な雇用制度が仇になっているところもあります。

ただでさえ少ない人員なのに、欠員が出るから更に負担が増す。人員の補充もできないままとにかく業務を回すしかない。その負担からまた欠員が出る。完全に悪循環です。

 

サラリーマンという選択肢は若者にとって最適解ではなくなった。そういう時代になったのだと思います。

サラリーマンははただでさえ制約が多い。

毎日朝同じ時間に起きて出勤しなきゃいけない。みんな同じ時間に出勤するから渋滞やラッシュに巻き込まれる。

さして仲もよくない同僚や気に入らない上司ともうまく付き合っていかなきゃいけないし,仕事のペースや量も自分では決められない。

現場と管理者の相互理解は一生進まないし,愛想笑いにも限界が来る。

これはサラリーマンは無理って人が出てきても全然おかしくない。

 

よくないのはこの状態を苦に思う人に「落伍者」のレッテルを貼ってしまうこと。みんな我慢している。甘えてるだけ。そんな厳しい意見が出てくるかもしれませんが,みんな我慢しているから我慢しなきゃいけないというのもおかしな理屈です。

できることは人それぞれ違う。できないことも当然違う。いわゆる会社勤めに必要な能力が欠けていたとしても,それは足が遅いとか歌が下手とかと同じことで,単に適正に欠けるというだけのことです。人格まで否定されるほどのものじゃありません。

なんだか今は仕事=人生で能力=人格みたいな感じになっているのがおかしいですね。

 

まぁ会社との関係はしょせん金の関係です。金に換えられないもの(家族仲や健康)を犠牲にしてまで続けるものじゃありません。今時転職なんて珍しいことじゃないし,金を稼ぐ方法は会社勤めに限りません。本格的にダメになる前にその場から離れるという選択はベストでなくてもベターにはなり得るのではないかと思います。

 

ただ,離れる前に自分が何が苦手でストレスを感じるのかを理解しておくことは大事です。しんどいけど何がしんどいのかわからない状態は本当にきつい。それを理解していれば,次に何かを始めるときに行動の指針になるかもしれません。しんどい思いをしたのならその中からせめて何かを掴みましょう。

 

人間できることしかできませんし,体も一つしかありません。

 

人生の中で金に換えられないものって結構あります。

会社勤めはもう限界と感じている人は,目先のお金や世間体と健康や大切な人間関係。自分にとって本当に大切な方を選んでもらいたいと思います。

どうか悔いのない選択を。